ライ角とはクラブのソール面を水平な地面に接地した(スコアラインが水平となる)状態で飛球線方向から見た時に、その水平な地面とシャフトがなす角度のことです。
ゴルフクラブは通常、ウェッジからアイアン、ユーティリティ、フェアウェイウッド、ドライバーと順に長くなっていきます。従って、同じプレーヤーが水平な地面に均等にソールする為には、クラブのライ角が順に小さくなっていく必要があります。この為、ドライバーのライ角は比較的小さく、ウェッジのライ角は大きくなっていきます。
ライ角の「フラット」と「アップライト」
ライ角が小さい状態を「フラット」といい、大きい状態を「アップライト」といいます。
間違えて覚えている人が多いのですが、基本的にフラットなほどボールはつかまりにくく、アップライトなほどボールはつかまりやすくなります。だからドライバーはつかまりにくく、ウェッジはつかまりやすいのです。
例えば最近のドライバーのライ角の平均は58°前後なのですが、つかまり重視のモデルは60°を超えているものもあります。
ややこしい話なのですが、ゴルフにはライ角のフラット/アップライトとは別に、ポスチャー(アドレス時の姿勢)のフラット/アップライトという考え方があります。これを一緒にして混乱している人が多いので間違えないようにしましょう。
実はドライバーのライ角の影響はさほど大きくないのですが、アイアンやウェッジのライ角は方向性に大きな影響を与えます。その為、アイアンやウェッジを選ぶ際にはライ角の合っているものを購入するか、ライ角調整することをオススメします。
ライ角が適切かどうかはプレーヤーがグリップする手の高さによります。日本の各メーカーは日本人男性の平均である170センチ前後の身長の人がアドレスした時の手の高さを想定してライ角を設定しています。つまりメーカーの設定に合っている人はライ角も適切な為、インパクトでスコアラインが水平になります。
しかし身長が低い人や逆に高い人が同じライ角のクラブを使うとライ角が合っていない為、インパクトでフェース面が傾きます。これが以下のようなデメリットを起こします。
アイアンのライ角が合っていない場合のデメリット
【デメリット1】方向性が悪くなる
<身長の低い人(手の位置が低い人)の場合>
身長が低い人は基本的にアドレス時の手の位置も低くなります。標準的な身長の人に最適化されたライ角のクラブを身長の低い人(手の位置が低い人)が使うとクラブはフラットになり、クラブヘッドのトゥ側が浮いてしまいます。クラブヘッドのトゥ側を浮かせてみるとわかりますが、それだけでフェースはやや左を向きます。したがって、正確にインパクトをしたとしてもボールはやや左に飛ぶことになります。
<身長の高い人(手の位置が高い人)の場合>
身長が高い人は基本的にアドレス時の手の位置も高くなります。標準的な身長の人に最適化されたライ角のクラブを身長の高い人(手の位置が高い人)が使うとクラブはアップライトになり、クラブヘッドのヒール側が浮いてしまいます。クラブヘッドのヒール側を浮かせてみるとわかりますが、それだけでフェースはやや右を向きます。したがって、正確にインパクトをしたとしてもボールはやや右に飛ぶことになります。
【デメリット2】アドレスに悪い影響が出る
アイアンを持ってアドレスする際に、プレーヤーは無意識のうちにソール面をフラットに接地しようとします。
先に説明した通り、身長の低いプレーヤーが普通に構えるとクラブヘッドのトゥ側が浮いてしまうことになるのですが、プレーヤーは無意識のうちにトゥが浮かないようにハンドアップして構えてしまうのです。
逆に身長の高いプレーヤーはハンドダウンして構えようとします。このような些細な行動がアドレスに微妙な狂いを生じさせてしまうのです。
アイアンのライ角調整
実はゴルフショップなどでネック部分を力で曲げることにより、ライ角を調整することができます。ただしライ角調整できるのは「軟鉄」に限ります。軟鉄は炭素含有率の少ない純度の高い鉄で比較的柔らかい素材である為、曲げることができるのです。
最近のアイアンはステンレスやチタン合金などの硬い金属で出来ているものも多く、それらは硬い金属なので曲げることが出来ないのです(無理に曲げようとすると折れてしまいます)
たまにFORGED(フォージド)を軟鉄だと勘違いしている人がいますが、FORGEDは鍛造という意味であり、軟鉄とは限りません。アイアンにFORGEDという刻印がされていても合金である可能性もあり、無理に曲げようとすると折れてしまいますので注意しましょう!
以上、ゴルフクラブの「ライ角」がショットに与える影響でした!
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